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演じると言うこと

日曜日, 10月 9th, 2016

私は、テレビドラマを良く見ます。特に、刑事ドラマは好んで見るほうです。先日、刑事ドラマでは有りませんが、「観光バスのガイドを主役にしたシリーズものの二時間ドラマ」を見ていた時の事です。このドラマは、バスの行く先々で、必ず、事件が起きて、主役のガイドさんが、色々失敗を重ねながらも、最後には、犯人を特定する、と言う、コミカルなドラマです。何時もの様に、ドラマの初めに、その観光バスのツアー客の紹介を兼ねて、ガイドさんが点呼をとる場面が有ります。その客の中に、スーツ姿の男性が映し出された時の事です。思わず私は目を見張りました。その人は、刑事ドラマの「相棒」シリーズに、毎回出てくる「警視庁捜査一課のベテラン刑事役」をやって居る俳優さんだったのです。これを見た途端、私は「このドラマの中で、殺人事件が起きて、この人が活躍するんだ」と想像しながら、テレビの画面を見ておりました。ドラマが始まって、40分位経った頃です。件の刑事役の俳優さんが、全く想像もしなかった、トンデモナイ動作を見せ始めたのです。ツアー客の中の、若くて可愛い顔をした男の人に近づいて、その手を握りしめて、ウットリとした表情で男の人の顔を見つめながら、何か小声で囁いて居たのです。これを見た瞬間、私は「ええっつ・?嘘だろう、あの人があんな事をして・・・」と。所謂「そっちの気の有る男性役」を演じていたのです。途端に、それ以上、このドラマを見る気がしなくなって、テレビのスイッチをOFFにしました。相棒の中で、警視庁捜査一課のベテラン刑事役を長年やってる人が、選りも選って、こんな役をやるなんて、と、正に信じられない気持ちでした。ドラマの結末が如何なったかは、知る由もありませんが、何か、見てはいけないものを見た時の様な、後味の悪い気が残ったのです。でも、ドラマが、コミカルな内容の筈ですので、あの刑事さんも、きっと、見てる人が「クスッと」吹き出したくなるような役柄で終わってくれたんだろうな、と、想像しているこの頃です。ただ、今後、相棒を見た時、あの刑事さんが出てきたら、私は、どんな顔で見たら良いのかな、と、一人考えたりしております。片や、警視庁捜査一課のベテラン刑事、片や、若くて可愛い男の子を追っかける、その気の有る男性、の「硬・軟」両極端な男性を演じ分けているあの俳優さんも、ドラマの監督さんあたりに言われて、渋々引き受けたんだろうか、それとも、将来の勉強の為に経験して置こうか、と考えて演じて居られたのか、等と、想像しながら過ごしております。テレビドラマとは言え、極端に偏った役柄を演じ分けていた俳優さんを見て、ふと、感じた事を書いてみました。