テレビの「日本映画専門チャンネル」で、何十年振りかで見出しの「続社長漫遊記」なる映画を見た。私が20歳代の前半ごろに大ヒットした東宝映画の代表作の一つだ。人気が有って沢山のシリーズ作が創られた映画でもある。主な出演者は「森重久弥・久慈あさみ・加藤大介・草笛光子・三木のりへい・小林圭樹・フランキー境」等そうそうたるメンバーだ。話の筋は大体似かよっていて、染料を扱う会社の社長である主演の森重久弥が、会社の仕事にかこつけて沢山の女性と浮気?をしようとするのだが、その都度、肝心の処で邪魔が入りそれが出来ないまま、社長夫人の久慈あさみにとっちめられて、のらりくらりと言い逃れをしたりする、コミカルな喜劇である。現在の世相だったら間違いなく「セクハラ騒ぎ」になりそうなセリフや仕草が随所に設定されていて、観客が思わずにやりとしてしまう場面が沢山用意されているのだ。前記の出演者の中には、既に故人となられた方々もあり、懐かしさと相まって三時間近くかかった映画をアッつと言う間に見終わった感がしたのを覚えている。振り返ってみて、最近の世相が、当時と比べてあまりにも「ギスギス」していないかと感じさせられた一時でも有った。ちょっとした事を捉えて直ぐ「訴訟沙汰」に持ち込む傾向や、親子が反目しあったり、せっかく一緒になった夫婦が、何のためらいもなく離婚したりする世の中。親が子を、子が親を、夫が妻を、妻が夫を、様々な理由で殺し合う事件が余りにも多すぎないか。懐かしい映画を見た後で、当時の世相の「大らかさ」が垣間見えて思わず「あの頃は良かったなあ」と、一人で懐かしく懐古の情に浸った一時でも有った。