スポーツ選手のガッツポーズのこと

ここ数年来、正に百花繚乱と言った感じで様々なスポーツ競技が色々な場所で行われております。そして各競技には必ず勝敗という明確な結果が待ち構えていて、競技に参加した選手が勝者と敗者に別れて様々な姿を見せてくれます。そしてそれはプロの競技アマチュアの競技を問わず、又個人競技や団体競技の別も問わず、間違いなく訪れる勝敗の分かれ目の瞬間が待ち構えているのです。そして勝った方は観衆に向ってにこやかに手を挙げ微笑を浮べて歓びを表し、負けた方は首うな垂れて下を向き、時に涙を見せながら競技場を去ると言った場面が幾度と無く繰り返されています。先日テレビを観ていたら、あるプロ野球の解説者が「ホームランを打った打者がガッツポーズしてダイヤモンドを回るのは相手のピッチャーに対して失礼だ、絶対にやるべきではない」というようなことを強調しているのを聞きました。又かなり前のことですが、大相撲で横綱朝青龍が優勝戦で勝った時にガッツポーズをしたのを捉えて「横綱とも有ろう者があんな事をしたら駄目だ、全く品が無い」と手厳しく批判していた相撲解説者の話を聞いた事がありました。私はこの両方の解説者の言葉を聴いて何か奇異な気持ちになった事を覚えております。「ホームランを打った打者がそのときの嬉しい気持ちを表す為に自然と出たガッツポーズが何故相手のピッチャーに失礼になるのだろうか」「幕内優勝を果たした朝青龍が何故ガッツポーズをしてはいけないのか、何処が品が無いと言うのだろうか」と言う素朴な疑問です。スポーツを観戦している人達はその大半が、目の前で繰り広げられた競技の結果で勝負が決り、勝者が喜び敗者が悔しがるその姿を見に来たのではないのか。ホームランを打った打者や朝青龍が、その瞬間に何の表情も見せず只仏頂面して其の場に居たとしたら、こんな無味乾燥なスポーツは見ていても何の面白さも湧いて来ないと思うのです。プロ野球や大相撲に限らず、サッカー、テニス、ボクシング、水泳、マラソン、数え上げればきりがありません。競技の内容もさる事ながら、勝者の勝ちっぷりや敗者の負けた表情から観衆は何かを感じ取って帰って行くものだと思うのです。勿論相手の選手に対して「どうだ、俺は強いだろう!!」とこれ見よがしな仕草でやるガッツポーズは観ていて気持ち良いものではない事ぐらいは分かります。プロ野球も大相撲も、その人気がかってほどではないと言われるこの時節に「相手に失礼だ」とか「品が無い」とか目くじら立てないで、もっと大らかに競技を楽しむ様な雰囲気作りをして行ったらどうかなあとつくづく感じた次第です。
 
  
 

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